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同人誌のほとんどの作品は「性と愛の表現」の熱気に満ち、それが創作の重要なエネルギーになっていると思います。
そうしてでき上がった作品に「性表現の修正」を加えることは、作者にとって時には耐え難いものであるのかもしれません。
弊社も意欲溢れる作品をできる限りそのまま印刷したいと思っています。
しかし、表現にはかならず責任が伴います。「この程度なら…」と考えて描いたものが社会から非難され、法律や条令で処罰される可能性があります。
また、そうした処罰(処罰に至らなくとも、摘発に伴う騒動)が社会的に大きな反響を呼び、イベント会場の使用禁止などの
事態を呼び起こし、それが長引くことで同人誌文化そのものへの打撃、消失に繋がることも考えなければなりません。
表現とは良くも悪くもそれだけの力を持ったものであることは一表現者として自覚が必要だと思います。
弊社は、そのような考えから、行き過ぎた表現にはブレーキをお願いしています。
わいせつ図画の修正
上記の社会的な影響、同人誌への影響を考え、刑法175条の「わいせつ図画」で処罰される可能性が高いものは
印刷できないとお考えください。
具体的には「性器の露骨な描写」「結合部分の具体的な描写」を修正で隠していただくことをお願いすることになります。
a.修正の方法修正は「修正しようとする意志」が第三者に見て取れることが大切です。
「修正意志の明らかな修正」とは、次のような方法です。
黒ベタ、白ベタなどによる修正
修正する場所に黒ベタまたは白ベタを置いてください。
下記の方法は「修正しようという意識が弱い」と判断され、
わいせつ図画として摘発される可能性があります。
- 【半透明修正】アナログ原稿における透けるトーンの使用、データ原稿でのグレー乗せ。
- 【モザイク修正】データ原稿における細かなモザイク(特にカラーにおける生々しい色への細かなモザイク)など。
- 【ぼかし修正】うっすらとぼかし、修正、未修正の境界があいまいなもの。
- 【体液による修正】体液で隠しても、結合部分の具体的な描写に見えるもの。
※濃く黒く、粗く、広範囲に、といったボリュームアップをお願いします。
b.修正の基準
弊社の修正基準はコミックマーケット等の即売会とおおむね同一です。
c.ジャンルや傾向における修正基準
次のジャンル、傾向を持ったものはより厳しい修正をお願いすることがあります。
- 児童、特に幼児を性の対象とするもの
- 強姦など人間の陵辱に終始するもの
- 性行為の表現に終始するもの、その割合が極端に高いもの
- 人間以外の動物、異生物といったものとの交渉も「性器の露骨な描写」「結合部分の具体的な描写」として解釈することがあります。
実在の18歳未満の男女を性又は性の類似行為の対象とした作品は児童ポルノ法に抵触する怖れがあります。
厳しい修正を要請するか、印刷をお断りすることがあります。
d.修正作業と当社の修正判断無修正やそれに近い状態でのご入稿はご遠慮ください。また、お客様の修正が弊社の考えるものとズレがあると
判断した場合は、弊社側で追加の修正作業を行い、その旨をご報告させていただきます。
原則、修正後の画像はお送りいたしません。もしも原稿作成時に修正箇所に不安がある場合には、事前にご相談ください。
e.修正の責任「修正によって売上が下がった」等の苦情や賠償の要求には、お応えできかねます。
f.事前の原稿確認と別の印刷所のご紹介あまりハードなものですと、いくら修正をしても弊社で印刷できない場合があります。
また、修正をしすぎると作者の意向から大きく外れた作品になってしまう場合もあるため、印刷をお断りすることがあります。
納品日間近でこのような事態になりますとお客様にご迷惑をおかけしますので、事前にラフ等をお見せください。
仮にお断りして、別の印刷所に持ち込まれた場合、その印刷所が「同人誌における性表現規制の常識や
現実の状況」について無知であると、取り返しのつかないことが起こるかもしれません。
弊社としてはコミックマーケット準備会の基準内のものであって、製造時間の問題が解決できるのであれば、
印刷技術も信頼のできる別の印刷所をご紹介させていただくこともできます。
成人マークについて
成人マークは18歳未満に閲覧・頒布しないことの意思表示です。
その表記は外から見える状態で表記されている必要があります。表紙(表1か表4)につけることをおすすめします。
各都道府県には青少年条例があり、その条文に「発行者は、18歳未満の青少年が閲覧、観覧することが適当ではないと
思う図書に、適当ではない旨の表示をするように努めなければならない」という趣旨が記載されています。
この条文は「有害図書」に対する自主規制を定めたものです。ご自分の本が18歳未満に有害か否か、成人マークを
付けるべきか否か、自主的に判断してください。
性的なことが描かれ、または書かれていたら全て成人向けというわけではありません。
自主的な判断に自信がない場合は商業誌における成人向け表示を参考にしてください。
※お客様の本が青少年条例で有害図書として指定された場合は、その本を18歳未満に閲覧・頒布すると処罰されます。
成人マークを付ける付けないに関わらず、わいせつ図画は処罰の対象となります。
奥付の書き方
奥付にサークル名、発行者連絡先、発行日、印刷会社名を必ず明記してください
(例)冊子のタイトル、発行年月日、発行者(サークル名または著者名)、発行者の連絡先(メールアドレスまたはサイトURL)、印刷会社名(株)緑陽社
社会に対してなんらかの表現活動を行うことは責任が発生することです。
そして責任の所在を明らかにしなければ責任をとる意志がないと見なされます。
場合によっては故意に責任逃れをしていると見なされ、厳しい判断が下される可能性があります。
※個人情報が重要な問題となっている現在、自宅住所を秘匿したいと考える方が多くいらっしゃることと思います。
その場合はURLかメールアドレスをお書きください。
修正料金
無修正でご入稿の場合
無修正の性表現画像にてご入稿いただき弊社における修正を希望される場合、修正料金が発生します。
ご入稿いただいた原稿に次の内容のような性表現が描かれていた場合、修正をお願いすることになります。
お話の結果その修正を承諾していただき、修正作業を弊社にご依頼される場合、別途修正料金を頂戴いたします。
【描画された内容】
100%無修正、または無修正に近く、下記の用件に相当する画像
- 刑法175条(わいせつ図画)に抵触する可能性があるもの
- 即売会で頒布が許可されないと思われるもの
- 弊社の基準で性表現の修正が必要と思われるもの
原則として修正一ケ所につき200円(税込)
※アナログ・データ原稿とも同料金
※モザイク修正などの高度な修正作業は、上記を超える修正料金を頂くことがあります。
弊社のアドバイスに基づきお客様自身が原稿を修正されることも強くおすすめします。
その場合は〆切に間に合うように、事前のご連絡をお願いします。
代表的なパターンのサンプル画像(5~6頁分)を〆切の3営業日前までにお送りください。
お問合せ: info@ryokuyou.co.jp