- 第12回本フェチ大賞 大賞「アリスの冷めた恋/人魚姫の燃える愛」ひが様[全部綺麗に平らげて。]
大賞
「アリスの冷めた恋/人魚姫の燃える愛」
ひが様[全部綺麗に平らげて。]
【カバー】 | 用紙:OKムーンカラー ホワイト F-120/印刷:フルカラー4C |
加工:箔押し(①金、②銀)+空押し(加熱型押し) | |
【表紙】 | ①用紙:モダンクラフト 162kg/印刷:2色刷り(べに、こげ茶) |
②里紙 銀 170kg/印刷:2色刷り(あさぎ、濃グレー) | |
【扉】 | ①用紙:クラシコトレーシング/印刷:1色刷り(あか) |
【遊び紙】 | ②貝殻トレペ遊び紙 |
【本文】 | 用紙:クリーム書籍用紙72.5kg/印刷:①えんじ、②ブルーブラック |
【製本】 | 無線とじ |
Interview
ひが様に、今作品の誕生したきっかけや装丁の考え方、発行までのスケジュールをお伺いします!
今回のご本が生まれたきっかけは何でしょうか?
今回の本は今まで書いたものをまとめた再録本なのでたくさん装丁を盛った本が作りたいと漠然と思っていました。 また、それなりにページ数が多いため、2冊に分けて対になるようなデザインにしたいということだけは決めていました。 そのときにちょうど擬似小口染めという手法を使用されたご本を拝見し、絶対擬似小口染めをやりたい! と思ったことが、この本を作ったきっかけでした。
使用された紙・加工と、特にこだわりを持った部分があれば教えてください。
それぞれのキャラクターのモチーフの1つである「人魚」と「お茶会」をテーマに、「人魚」の方は青、「お茶会」の方は赤、というメインカラーを決めました。メインカラーはカバー、表紙、本文色に使用し、本全体が統一感のあるデザインになるようにまとめました。また、タイトルや箔押しの位置など、2冊が対になるように意識してデザインしています。
カバーにはどちらも「OKムーンカラーF-120ホワイト」を使用しています。表1は箔押し、表4は空押しをしています。空押しをしたときに雰囲気が変わる特徴があり、この紙にしました。 表紙には「人魚」の方は「里紙 銀 170kg」、「お茶会」の方は「モダンクラフト 162kg」を使用し、それぞれ2色刷りをしています。
遊び紙には「人魚」の方はトレペ遊び紙の貝殻を、「お茶会」の方はトレペ×1色刷扉を使用しています。
特にこだわった部分は擬似小口染めです! データ作成の時点で頭がおかしくなりそうでしたが、ズレも少なく上手くできてとてもよかったです。本文を黒1色ではなく色刷りにすることで小口染め部分にも色がつき、少し豪華で可愛いデザインにできたのではと思っています。
今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?
3月頃に原稿のまとめをはじめ、カバーデザインもこの頃から作りはじめました。 4月に緑陽社さんに予約し、装丁の相談もさせていただきました。 5月頃にはデザインが確定し、入稿の準備をしていました。 6月までにすべての部材の入稿を終え、7月中旬に納品いただきました。
今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けてメッセージをお願いします。
擬似小口染めは、デザインを作成し、それをページ数分引き伸ばし、ページ数分分割し、1ページ毎に貼り付けていく……という作業をちまちまやることになるのですが、順番を間違えたりサイズが違っていたり位置がズレていたりと細かい修正もたくさん必要になってきます。 入稿前に自分で印刷し、どのような感じになるか確認した方が後々安心かなと思います。 いろいろな手間が必要になってきますが、できあがった本を見たときの感動はひとしおです。 この本の装丁がどなたかの参考になれば光栄です。
最後にひとことお願いします!
この度は栄えある賞を頂戴し、たいへん嬉しく思っております。
緑陽社さまには見積りから装丁のご相談、製本までとてもお世話になりました。データ確認まで丁寧に行っていただき、ありがたい限りでした。
この度は、本当にありがとうございました!
Staff Comment
「可愛すぎる疑似小口染め!」スタッフが製本を終えたときにもらした感想です。 本文色刷で小口印刷のような模様をつける発想もさることながら、それを2冊対のデザインで実現された技術と努力に脱帽を禁じえません。 手に取って読んでいる間も両手側に額縁のように本文を彩っており、本を開くたびに楽しい気持ちになる革新的な装丁です。 また、箔押しや空押し(加熱型押し)、扉印刷などの加工が要所に使われ、本が華やかな楽しさに満ちています。 デザインの全体に作品のメインキャラクター二人を想起させるモチーフが散りばめられており、 表紙・裏表紙・本文、どこを見ても愛らしい仕上がりになっています。 本を見た瞬間に一目ぼれし、本を手に取ってさらに驚き、虜になってしまう魅惑の装丁。 ときには、あえて小口側を手前に向けて、書棚に収めたい2冊です。 あふれるイマジネーションを形にした素晴らしい作品に、大賞をお贈りいたします!▼ 第12回 受賞作品 ▼