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ハイセンス賞
「夜間飛行/羅針盤/トロイメライ」
庵様[おおかみ堂]

第13回ハイセンス賞
大きく開いたトムソン窓から覗く美しい世界に溶け入りそう
3つの景色を映し出す作品集。

仕様
【表紙】 用紙:ハイマッキンレーポスト 200kg/印刷:4色フルカラー
加工:マットPP、トムソン加工(オリジナル型)
【扉】 ①用紙:コミックルンバ ホワイト 84kg/印刷:1色刷り(スカイブルー)
②用紙:コミックルンバ ホワイト 84kg/印刷:1色刷り(ウルトラマリン)
③用紙:色上質 銀鼠 厚口/印刷:1色刷り(スミ)
【本文】 用紙:クリーム書籍用紙 72.5kg/印刷:スミ刷り
【製本】 無線とじ

Interview

庵様に、今作品の誕生したきっかけや装丁の考え方、
発行までのスケジュールをお伺いします!

今回のご本が生まれたきっかけは何でしょうか?

原作を好きになってから数日に1度はX(旧:Twitter)で短編をアップロードしていて、
それをまとめれば本になる文章量だと思い立ち、作りました。

使用された紙・加工と、特にこだわりを持った部分があれば教えてください。

はじめは一冊にまとめるつもりだったのですが、キャラクターを語る上で「空」「海」「宇宙」が欠かせないキーワードだったため「この際3冊発行しよう!」と決めて、
「船の窓」「宇宙船(ロケット)の窓」が正円であることから、
その窓を通して彼らの見ている景色を映し出すような装丁にしたいと考えました。

ご担当者様に当初は「カバーをトムソン加工で抜いて表紙を見せる」という相談もして
お見積りもして頂いていたのですが、緑陽社様の印刷メニューに扉絵印刷もあるということで、
表紙をトムソン加工で正円に抜いて、扉絵印刷で絵柄を見せるという方向になりました。

また、表紙~扉絵までデザイナー様にお願いしたのですが、
扉絵がとても細かく繊細だったため、綺麗に印刷できるよう大型印刷機にしてはどうかという
ご提案も頂きました。とても綺麗に印刷して頂けて大満足です。

今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?

5~7月:短編集アップロード(原稿制作)
7月 :緑陽社様への見積もり依頼/デザイナー様への依頼
8~9月:他原稿2冊と並行して本文の全文読み直し作業、本文校正、誤字脱字チェック
9月 :入稿
12月:納品

今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けて
メッセージをお願いします。

同人誌の装丁は無限に選択肢がありますが、その中でもトムソン加工は憧れでした。
私はまだまだ勉強不足で表紙データの作成ができないのですが、
同じように表紙データを作成できない方でも、デザイナー様にお願いすれば
こんな凝った装丁の同人誌もできるのだといういい例になれたのかなとも思います。
改めて、この場をお借りしてデザイナーのダダとド様に御礼申し上げます。

最後にひとことお願いします!

緑陽社様の本フェチ大賞についてはもちろん存じていたのですが、
まさか選んでいただけると思わず、とても驚き、そして大変嬉しく光栄に思っています。
同人誌が好きで、そして紙や装丁そのものも大好きなので、
これからも気になった装丁や自分の好きな装丁をやっていきたいなあと思っています。
この度は名誉ある賞に選んで頂き、本当にありがとうございました!

Staff Comment

大きく開いた円から覗く扉絵の美しさに、そのままその世界に溶け入りそうになります。
この3部作はいずれも短編の再録集で、各作品には新たなコメントや書き下ろしが加えられています。それまで収録作品を穴が開かんばかりに何度も読んで楽しんだ読者もまた手に取りたくなる贅沢な作品集です。
B5サイズの正方形本に2段組の本文は余白も美しく新鮮な印象で、読み進めやすくつくられています。

トムソン加工は、表紙が大きな窓になっている驚きと美しさの一方で、めくる際の圧力により折れやすくなるという葛藤があります。
今回、製本機を細かく調整し、表紙のサイズや配置に無理がないか確認するために、
作家様から表紙のデータをお早めに頂く必要がありました。
さらに、通常よりも時間がかかる製本のため、本文原稿も前倒しでご入稿をお願いすることとなりました。
多大なご理解とご協力をいただきながら、装丁が抱える困難を乗り越えて完成した3部作は美しさもひとしおです。
庵様の素晴らしい作品に感謝と共に受賞を心よりお祝い申し上げます。

▼ 第13回 受賞作品 ▼


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