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審査員賞
「星霜駆けらば、春死なむ」
すみ様[すみに置けない。]デザイン:Rinne Design様

第13回審査員賞
意味深な表紙と赤黒の怪し気な雰囲気の本文に飲み込まれそう。
濃密な物語が詰まっているアンソロジーです!

仕様
【表紙】 用紙:トーンF CG6 160kg/印刷:1色刷り(ゴールド青口)
加工:箔押し(ブルー)、表2-3印刷(ゴールド青口)
【本文】 用紙:コミックルンバ ナチュラル 70.5kg
印刷:全ページ2色刷り(スミ、えんじ)
【製本】 無線とじ

Interview

すみ様に、今作品の誕生したきっかけや装丁の考え方、
発行までのスケジュールをお伺いします!

今回のご本が生まれたきっかけは何でしょうか?

ふたりの青春時代をもっと見たい!と強く感じたことと、原作では道を違えたふたりに
一緒にいてもらう方法はないか・幸せになってもらう方法はないかと考えた結果、
「ひとつの世界に一生閉じ込めちゃえばいいんだ!」という結論にいたったことが、
アンソロジーを企画したきっかけです。

『ひとつの世界』(アンソロジーのテーマ)を考えるにあたり原作の世界観を大切にしたかったので、 人の感情や営みから生まれるもの=「民俗学」の中でも「民間伝承・風習・噂」的な要素をテーマにしました。
ご寄稿いただいた作品は全て独立したお話ですが、本として通しで読んだ時に一つの物語として捉えてもらえるよう色々な工夫をしました。

使用された紙・加工と、特にこだわりを持った部分があれば教えてください。

1.参加者様全員の個性を活かした「民間伝承」らしい何でもアリな作品集にする
(表現の幅を広げる)
2.統一感を出す
この2点をクリアするために、本文を全ページえんじとスミの掛け合わせで作ることにしました。
えんじは濃淡・明暗で印象が大きく変わる色ですから、ピュアな恋愛物、キュートなイラスト、成年向けの作品スプラッタ・ホラー的な作品など、どんな作風ともマッチすると考えて選びました。
刷り上がったものをはじめて確認したとき、個性豊かな作家様の表現を活かした色味になっていて感嘆しました。やってみてよかったです。

今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?

[2022年 11月-1月]
本のテーマ・コンセプト・デザイン等 構想をまとめる
[2023年 3-4月]
執筆陣へのお誘い
[5月]
執筆陣発表
[6月]
ペーパー配布/アンソロ内web企画スタート
[8月10日前後]
原稿〆切
[8月下旬]
編集・入稿/その他ノベルティの整理・準備
[9月]
頒布

今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けて
メッセージをお願いします。

本文2色刷りの魅力について
一見して華やかになるのはもちろんですが、それ以上に表現の幅が広がることが
非常に大きい利点だと思います。
実際の色味・仕上がりを想像しながらの作業は楽しいですし、おすすめです!

最後にひとことお願いします!

今回は数多くある作品の中から当作品を選んでくださいましてありがとうございました。
アンソロを作るなら絶対緑陽社さんで刷る!と決めていたくらい憧れていた印刷会社さんなので、こうして目に留めていただいて光栄です。
今回たくさん印刷・加工のご相談に乗ってくださった担当者T様には大変感謝しております。
今後ともお世話になります!この度は本当にありがとうございました。

Staff Comment

表紙に金インク、箔押し、本文2色刷りと一見派手な加工にもかかわらずシックに重厚にまとまっている一冊です。
本文には白紙ページがなく、表2-3にも印刷があり、隅々まで物語が詰まっていて大変読み応えがあります。

まず表紙をめくれば、キャラ二人が表2-3を出発して、赤と黒に彩られた本文へ進むという出だしが描かれており、本編への期待にあふれた始まりになっています。
本文は単純に色を分けただけでなく「えんじ」と「スミ」をかけ合わせて複雑な色合いを表現。特にページの色がグラデーション状に変わっていく演出は2色刷本文ならではの素晴らしさです。
コメントカットやノンブル周り、小説文章の見せ方などあらゆる所がアンソロテーマに基づきデザインされており主催者様のこだわりを随所に感じます。
多数の作家様が描かれるアンソロであっても散漫な印象を受けないのは、そのような統一感があるからでしょう。

268ページにも及ぶ本文で凝った2色刷り原稿を作成されることは、とてつもなく大変だっただろうと想像いたしますが、そのご労力にふさわしい素晴らしい内容となっていることを心より感じております。
キャラクター二人へあふれる想いを形にしたこの作品に審査員賞をお贈りいたします。

▼ 第13回 受賞作品 ▼


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