- 第13回本フェチ大賞 特別賞「My×Tear 結集」W様[双]
特別賞
「My×Tear 結集」
W様[双]
【表紙】 | 用紙:モダンクラフト 162kg/印刷:4色フルカラー+ホワイト2度刷り |
加工:表2-3印刷(ホワイト) | |
【扉】 | ①用紙:未晒クラフト 108kg/印刷:1色刷り(ホワイト/スミ) |
②用紙:色上質 銀鼠 厚口/印刷:1色刷り(スミ) | |
③用紙:色上質 桃 厚口/印刷:1色刷り(ブラウン) | |
④用紙:色上質 水 厚口/印刷:1色刷り(ブルーブラック) | |
⑤用紙:色上質 やまぶき 厚口/印刷:1色刷り(こげ茶) | |
⑥用紙:色上質 もえぎ 厚口/印刷:1色刷り(濃茶 DIC-380) | |
⑦用紙:未晒クラフト 108kg/印刷:1色刷り(あか/ホワイト) | |
【本文】 | ①用紙:コミックルンバ ホワイト 84kg/印刷:1色刷り(濃グレー) |
②用紙:コミックルンバ ピンク 84kg/印刷:1色刷り(えんじ) | |
③用紙:コミックルンバ ホワイト 84kg/印刷:1色刷り(ウルトラマリン) | |
④用紙:コミックルンバ ピンク 84kg/印刷:1色刷り(キャメル) | |
⑤用紙:コミックルンバ ホワイト 84kg/印刷:1色刷り(ビリジアン) ※疑似小口 |
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【製本】 | 無線とじ |
Interview
W様に、今作品の誕生したきっかけや装丁の考え方、発行までのスケジュールをお伺いします!
今回のご本が生まれたきっかけは何でしょうか?
キャラクターの誕生日とイベントの日程が重なっていることに気づき、 せっかくなのでお祝いも兼ねて豪華なお祭り本にしたいと着想し、緑陽社さまにご相談しました。
使用された紙・加工と、特にこだわりを持った部分があれば教えてください。
・装丁のテーマ:CPの二人をイメージした装丁
・表紙について(紙/印刷/加工)
用紙:モダンクラフト162kg(PP加工なし)
表1-4印刷:フルカラー4C+白押さえ+白押さえ / 表2-3印刷:カラー1C(ホワイト)
・本文について(紙/印刷/加工)
用紙コミックルンバ ホワイト/ピンク84kg
色刷5種(台割参照)+疑似小口
・製本・その他
扉印刷
おてがる扉(用紙:未晒クラフト108kg)
巻頭インク:(ホワイト/スミ)、巻末インク:(あか/ホワイト)
※ホワイト面を表2-3側に向けて製本
製本位置:巻頭1枚+巻末1枚
巻中扉印刷
色上質扉 (用紙:4種 台割参照)
印刷:色刷1C/0 ※刷色は台割参照
製本位置:巻中各1枚 ※台割参照
※台割
おてがる扉(クラフト/両面)…ホワイト/スミ
色上質扉(銀鼠/スミ)
本文(濃グレー)…コミックルンバホワイト
色上質扉(桃/基06ブラウン)
本文(えんじ)…コミックルンバピンク
色上質扉(水/ブルーブラック)
本文(ウルトラマリン)…コミックルンバホワイト
色上質扉(やまぶき/基13こげ茶)
本文(キャメル)…コミックルンバピンク
色上質扉(もえぎ/カフェラウンジフェアC3 濃茶(DIC-380))
本文(ビリジアン)…コミックルンバホワイト
おてがる扉(クラフト/両面)…あか/ホワイト
全体の共通イメージとして赤椿と白椿を意識したので、本文用紙は章ごとに白とピンクが交互に来るようにしました。
加えてキャラクターのカラーをふんだんに使いたいと思いインクと巻中扉の構成を練りました。
本文の色刷り部分であるグレー&赤系は攻の、黄&緑系は受の、それぞれ髪色&イメージカラーを選びました。
二人の間に入る青は原作のキーワードである「涙」を表してます。
小口側から見るとより分かりやすいのですが、二人の色が青(涙)を挟んで繋がるような色合いになってます。
(表紙もその考えの元、前述の五色が散りばめられたデザインになってます。)
おてがる扉は当初巻頭にだけ挟むつもりだったのですが、担当さまの薦めで巻末にも挟みました。 結果、疑似見返しが出来たような作りになり、とてもバランスが良くなったのでお気に入りです。
今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?
2023年5月 緑陽社さまに最初のご相談 見積・台割作成
6月 表紙入稿・おてがる扉・色上質扉
7月 本文入稿
今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けてメッセージをお願いします。
モダンクラフトは触り心地がとても良く、温かで優しい印象も与えてくれる素敵な用紙なのですが、実はインクとの相性があまりよくないです。
担当さまとも相談し、その前提を踏まえて四隅にインクがのりすぎないデザインを心がけました。(剥げる原因になってしまうため)
また、本来は色刷用の用紙でもあるので、フルカラー印刷をする前に白押さえを二回重ねて刷りました。
通常とは違う工程+乾かす時間が必要になり、緑陽社さまに融通を利かせていただいても、
イベント二ヵ月前には表紙入稿が必要というとても速い〆切になりました。
紙本来の触り心地を優先したため今回PP加工はなしにしましたが、ここにさらにPP加工を足すともっと早い〆切になります。
特殊装丁は凝れば凝るほど本当に時間がかかるので、ご利用は計画的に!と何度でも言いたいです。笑。
最後にひとことお願いします!
巻中に挟みこむ仕様+αで複雑な加工をたくさん組み合わせたので、
原稿作成時に混乱したり、紙やインクの選択に迷うことなども多々あって、
その度に担当さまにご相談にのっていただきました。
おかげさまでとても満足のいく、お祭りと言うに相応しい豪華な装丁になりました!
いつも忙しい時期でも丁寧にご対応いただきありがとうございます。
素敵な賞をまた頂戴し、とても光栄です。
引き続きどうぞよろしくお願いします。
Staff Comment
こちらの作品の特徴は本文色刷です。5章それぞれにキャラクターや作品をイメージしたカラーが使われています。本文各ページのタチキリに色帯を入れ、まるで小口染めのように見せることで、ページを開く前から物語のキャラクターを感じられます。
読者は、それぞれのテーマに思いをはせて、巻頭から読み進めようか、気になる色から読んでみようかと胸を高鳴らせることでしょう。
各章の扉は本文と一貫性のあるカラーで作られており、紙色とインキ色をそれぞれ変えるというこだわりに、作品への愛を感じます。実際に作品を読み進めると、扉をめくったときに、扉の紙色・刷色からすっと本文に引き込まれる感覚を覚えます。
緑陽社の基本色36色から、5つの章それぞれにどの色を使用するか、理論上考えられるパターンは36×35×34×33×32通り。膨大な組み合わせの中から、それぞれの色の印象が薄れることのない組合せを決断されるまでには、作家様のみぞ知る“産みの苦しみ”があったのではないでしょうか。
その結果できあがった作品に、一人のスタッフは「この作品を超える素晴らしい本文色刷はあるのだろうか」と感嘆しました。
多数の1色刷りを組み合わせて、1冊の作品にまとめ上げた作家様の素晴らしいセンスと作品づくりへの熱い想いに畏敬と感謝の気持ちをこめて特別賞をお贈りいたします。
2023年には、第12回本フェチ大賞にて「アイディア賞」を受賞されていますので、 こちらもあわせてお楽しみください。
▼ 第13回 受賞作品 ▼