【印刷所おすすめ】紙と印刷色の組み合わせ&WEBで簡単シミュレーション!

特殊紙に1色~2色で印刷された表紙を見たことはありますか?「色刷表紙」といって、
紙やインキの色を楽しめる人気の装丁のひとつです。
今回は「色刷表紙」の魅力と、オススメの紙×インキの組み合わせをご紹介します!

「同人誌の表紙で使ってみたいけど印刷した時の色のイメージがわからない!」

そんな方におすすめなのが緑陽社の「色刷りインキ×特殊紙シミュレーター」です!
実際に色刷りインキと特殊紙を重ねたときのイメージを確認できる優れものですので、
ぜひシミュレーターを使って好みの組み合わせを見つけてみましょう♪

色刷りインキ×特殊紙シミュレーター




1.同人誌印刷「色刷表紙」の魅力を解説!

特殊紙に対して特色インキ1色~2色で印刷した表紙を「色刷表紙」と呼びます。
色刷はCMYKの4色の掛け合わせで再現するフルカラー印刷とは異なり、紙の上にインキの色をそのまま乗せる印刷手法です。
インキには透過性があり、紙地の色が透けて見えます。印刷サンプルはこちらをご覧ください♪

シンプルな白い紙にインキの色を乗せて楽しむのも良し、紙とインキの意外な組み合わせを楽しむのも良し!
シンプルながら奥深いのが「色刷表紙」の魅力です。
緑陽社でご用意している色刷表紙の紙は「きほん紙」23種類と「色上質」31色。インキの色は36色です。

紙とインキの組み合わせパターンは単純計算で1,944通り!2色刷する場合は、さらに組み合わせパターンが増えます。
「こんなに組み合わせがあると、迷っちゃって選べない!」
「どんな紙とインキが人気なの?」といったお問合せをいただくこともあります。

そこで、実際に人気のあるものやオススメの紙とインキの組み合わせをご紹介します!

※こちらの記事でご紹介する「色刷表紙」は、緑陽社の「色刷表紙セット」「小説本セット」でご利用いただけます。
オプションでインキ色を2~4色に増やすこともできます!

2.深みや高級感のある雰囲気を出したい時の組み合わせ

緑陽社のきほん紙の中にラインナップされている「ビオトープ GA-FS」は、4色どれも紙自体の重厚感と深みのある色がとても魅力的です。
「フォレストグリーン」は以前に期間限定フェアでお出ししていましたが、人気が高かったため2021年9月から「きほん紙」に加わりました。
「マロン」は「高級感のある濃い茶色の紙がほしい」というスタッフの一声で「きほん紙」になりました。
これらの紙は紙自体の色が濃く、薄い色のインキは紙色の影響を強く受けるため紙色に引けを取らないメタリック系の色がおすすめです。

【使用例】
1.ビオトープGA-FS ベリーレッド×ゴールド赤口
2.ビオトープGA-FS ミッドナイトブルー×シルバー
3.ビオトープGA-FS マロン×ゴールド赤口
4.ビオトープGA-FS マロン×ゴールド青口

1と2は、実際にご入稿実績が多く人気が高い組み合わせです。

悩みに悩み抜いてつけたこだわりの作品タイトルをそのタイトルにぴったりなフォントで入れると、表紙が厳かな雰囲気になります。

ゴールド赤口とゴールド青口で迷われる方が多いのですが「ベリーレッド」「マロン」といった暖色系の紙色には「ゴールド赤口」が、「ミッドナイトブルー」には「ゴールド青口」がおすすめです。
また「フォレストグリーン」にはどちらのインキも似合います。

・ゴールド赤口…赤みのある金色です。
・ゴールド青口…赤口に比べ、黄色みのある金色です。

3.ポップで軽やかな雰囲気を出したい時の組み合わせ

表面にテクスチャーのある紙に絵柄少なめで、鮮やかなインキを乗せると軽やかな雰囲気になります。

【使用例】
1.サーブルスノーホワイト×蛍光ピンク
2.キュリアスIR ホワイト×蛍光グリーン

鮮やかなインキは紙色の影響を少なくしたいので、白い紙をえらぶのが発色良く仕上げるポイントです。
蛍光感より雰囲気を優先してご紹介しているのでインキの蛍光感を最大限引き出したいときは、ハイマッキンレーポスト200kgをえらんでくださいね。

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【もっと蛍光色の印刷にこだわりたい方へ!】
フルカラー表紙用のオプションとして大人気の「NEONカラー」も色刷表紙に使用した実績もございます。
インキの中でも最高峰の蛍光感を持つ「NEONカラー」はインパクト抜群です!
1度刷りのため2度刷りするフルカラー表紙のオプションほど蛍光感が出ない、紙や原稿によっては
インキが乾かないなどの注意点がありますので、まずは「カスタムコース」からご相談ください!
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4.紙地の色や風合いを楽しみたい時の組み合わせ

紙地を楽しみたい場合は、印刷色をシンプルにしたり紙地と同系色にするとバランスが取りやすいです。

【使用例】
1.こざと 春色×スミ
2.マーメイド アイス×ブルーブラック
3.里紙 桜×べに
4.キュリアスIR ホワイト×シルバー
5.ジャンフェルト 絹×こげ茶

5.ヴィンテージ感を押し出したい時の組み合わせ

「ファーストヴィンテージ」は紙名もあいまって“ヴィンテージ感”があふれ出る紙です。
紙の特性上、インキを吸いやすいためホワイトやシルバーなどは紙地の色の影響が特に目立ちます。
絵柄によっては見えづらいと感じる可能性もありますので、濃い色のインキをえらぶとこの紙の良さを活かしやすいかもしれません。

【使用例】
1.ファーストヴィンテージ ターコイズ×こげ茶
2.ファーストヴィンテージ ターコイズ×ブルーブラック
3.ファーストヴィンテージ スカーレット×えんじ
4.ファーストヴィンテージ ベージュ×こげ茶・サイバーピンク

ファーストヴィンテージ「ベージュ」は比較的紙色が薄いので色々なインキと組み合わせやすいです。

6.印刷の挑戦や冒険をしたい時の組み合わせ

「インキによって紙に文字や絵、写真などを再現する」ことが印刷なのだとしたらそれをあえて再現しないという選択肢もあるのではないか。
そんな冒険が許されるのが自費出版・同人誌です。

ありきたりな印刷に飽き足りずあえて見えづらいものを印刷するという冒険心と、
その結果を甘んじて受け入れる覚悟のある方だけにご紹介する組み合わせです。

【使用例】
1.白い紙×ホワイト
・サーブル スノーホワイト×ホワイト
・里紙 雪×ホワイト
・ブンペル ホワイト×ホワイト
紙によっては、印刷部分がうっすら卵白のように仕上がることもありますが特に凹凸がある紙ですと、
凹凸とあいまって印刷がほとんど見えなくなります。

2.赤い紙×あか
・ビオトープGA-FS ベリーレッド×あか
・ファーストヴィンテージ スカーレット×あか
特に「ビオトープGA-FS ベリーレッド×あか」は、インキが消え失せたかのように全く見えなくなります。
冒険には入念な準備が必要です。同じ色味の紙とインキを組み合わせる場合は事前の試し刷りをおすすめします。

7.どうするか迷ってしまった場合

最後に、迷ったらこれにしておけば大丈夫!という組み合わせもご紹介しておきます。

【使用例】
1.サーブル スノーホワイト×ブルーブラック
2.新・星物語 パウダー×濃グレー
3.ブンペル ホワイト×オリーブドラブ
4.キュリアスIR ホワイト×ブルーブラック

ブルーブラックは、全てを包み込んでくれる包容力の高い色だと思います。
また新・星物語 パウダー、キュリアスIR ホワイトは表面の細かいパウダー状のテクスチャーが
個性的かつその個性を強調しすぎない上品さがあり、色々なインキと合わせやすいです。

紙とインキの組み合わせに正解はありませんので、この記事でご紹介したものは一例です。
ぜひ皆さまの作品の雰囲気に合った素敵な組み合わせを探してみてください♪

関連リンク

メディバンペイントで表紙を描く!

今回はタブレットやスマホでも描ける無料ソフト
MediBang Paint (メディバンペイント)の原稿作成方法を紹介します。

 

1.原稿を描きはじめるには?

<表紙の作成方法>
【メニュー】⇒【新規作成】を選択。
画面上部のテンプレートから仕上げたいサイズを選択。

※参考:B5フルカラー表紙、背幅4mmの場合

<大事なポイント!>
4Cカラー原稿 解像度 【350dpi】
多色刷り原稿 解像度 【600dpi】

注意:この解像度を150dpiなど小さいサイズで作成してしまうと、
ぼやけた粗い画像で印刷されてしまいます。

B5サイズの本を作る際は外枠(製本サイズ)を
幅18.2cm高さ25.7cm(A5は幅14.8cm高さ21.0cm)にします。
※内枠のサイズの入力は必要ありません。

 

2.塗り足しは3mmに必ず設定を。

「塗り足し」が無いと仕上がった本の四方などに
紙の白が線のように見えてしまい、綺麗に仕上がりません。

見開きで表紙原稿を作成する際は項目にある
見開き・くるみ表紙にチェックをいれる必要があります。

背表紙幅は自動見積から作成する本の背幅を確認して入力してください。

新規設定をしっかりと設定するのが不備なく原稿作成するコツです!
ぜひご入稿をお待ちしております。

▼入稿データの保存設定はこちら!
>>MediBang Paint (メディバンペイント)原稿作成マニュアル

▼自動見積&ご予約はこちら!
>>自動見積&予約システム

【多色刷りの世界 おまけ】濃い白を出したい!

オフセット印刷というのは、紙にインキを薄~く乗せることで精密な仕上がりを実現しています。
 
しかし、インキの層が薄いぶん、濃い色の用紙では白止めを行っても紙色が透けてしまうことがあります。
そのような場合、白で押さえ切るために白を二度、三度と刷り重ねることがあります。
 
COMITIAさん発行の30周年記念冊子のカバーはトレペを不透明にするため、白8度刷りを行っているとうかがいました。
すごい…!
 
comitia+
↑『コミティア30thクロニクル』
 
またインキの層を厚く印刷するためには「シルク印刷」という手段もあります。
シルク印刷版はオフセット印刷よりもインキを厚盛りすることができます。(当社オプションの「厚盛りニス」等もシルク印刷です)
「精密さ」という点では劣りますが、盛った分だけ存在感のある仕上がりが期待できます。
別途お見積となりますが、ご相談を承ります。
 

【多色刷りの世界Ⅲ】インキの重ねは奥が深い!

多色基本色のなかで「透明」と書かれている一般色については、
どの色を重ねても概ね掛け合わせの色に仕上がります。

これについては、イラストソフトでレイヤーを「乗算」するのと
ほぼ同じような効果ですので、事前に想定がしやすいと思います。(もちろん、紙の色も影響します)

しかし!次のインキを重ねる場合は
レイヤーの「乗算」通りの結果にはなりません!

・基29 ホワイト
・基30 スミ
・基31 シルバー
・基32 ゴールド青口
・基33 ゴールド赤口

特に「スミ」との重ねは、とても想定が難しいものです。
データ上で他の色と重ねると、単に“真っ黒”ですが、
実際に印刷する場合、インクの下に別の色があると
「スミ」は「スミ」でも微妙に色が変わって見えます。
ですので、「ここはスミで隠れるから見えないだろう」と思って
ざっくりとした抜き合わせのまま入稿すると、
仕上がりが大変なことになるかもしれません…!

nuki

その他の組み合わせもご参考までに…
※主に100%同士の重ねの場合です。

【パターン1】メタルインク + 一般色
1回で印刷すると、メタルインクの方が上に浮き上がります。

【パターン2】 ホワイト + 一般色
白を用いる場合というのは、
基本的には白止めの必要なデザインかと思いますが、
白と一般色を一度に印刷しても色が混ざってしまい
その効果は得られません。
ホワイトを乾燥させてから次の色を印刷する必要があります。
その分〆切も前倒しとなることがありますので、事前にご相談ください。
 
>>緑陽社の基本36色はこちら

【多色刷りの世界Ⅱ】多色印刷のズレってどの程度?

「見当を付ける」「見当が外れる」という言葉があります。

もともと、浮世絵で刷色を何色も重ねる時に、版を合わせるカドの目印を「見当」と言いました。
一節によると「見当」を考え出したのは、かの平賀源内だそうです。
転じて、未知の事柄について立てた見込み、予想のことを「見当」と言うようになったそうです。(※N●Kの受け売りです。)

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しかし印刷の世界では、「見当」はいまだ現役で「刷り合わせの目印」のことを指します。多色刷りでオペレーターが最も気にすることの一つが「見当ズレ」です。

◆「見当ズレ」について
通常、緑陽社で多色刷りを行うのは2色印刷機です。
インキつぼが2つあり、1回印刷機を通すと一気に2色を印刷することができます。
(ちなみに、当社のフルカラー印刷機は6色まで一気に印刷できます)

この2色機は小さな紙にも印刷できたりインクの色替えがすばやく出来たりと小回りが効くところが魅力です。
しかし機械の性質上、フルカラー印刷で使う大型オフセット機のような精密な見当合わせができません。

印刷機を通っている間に紙の位置が僅かにずれ、ものによって「見当ズレ」が起こる場合があります。
見当ズレが起こると色の境目に隙間が空いてしまったり、細い線がダブってしまうことがあります。

では、どの程度の見当ズレが起こるのかというと、紙や状況に依りますがおおよそトンボ1本分≒0.1mm程度です。(髪の毛1本分)
この見当ズレ目立たないようにするため、「トラップ(僅かな色の重ねの部分)」の作成をお勧めしています。
当社の場合600ppiでのトラップの幅は2pixel程度でお願いしています(1pixelでは小さ過ぎます)

→トラップの作成についてはこちらもご参照ください。

◆「白止め」と「見当ズレ」の関係
白止めを行う場合、1回通しでインキを重ねると色が混ざってしまうため、最初に白インクを印刷し、乾燥させてからさらにもう一度………計2回印刷機を通す必要があります。
そうすると、白インキが乾燥する際に紙も伸縮するため、1回通しの場合よりもさらに大きく見当がズレる可能性があります。

「発色優先」か「ズレ回避」か……あちらを立てればこちらが立たない、何とも難しいところです。

なお「どうしても精密な見当合わせがやりたい!」という時はぜひ事前にご相談ください。紙が大きくなってしまうためお値段が割高になりますが大型印刷機仕様で別途お見積いたします。

※大型機でも表1と表4等離れた部分の合わせについては見当ズレが発生する場合もありますので、デザインも合わせてご相談いただくと良いかと思います。

【多色刷りの世界Ⅰ】黒い紙への印刷

(1)黒い紙へ赤や黄色のインキを印刷すると…

黒い紙への印刷は、印刷が目立つ金銀や白が一般的かと思います。
逆に、敢えて黒インキをお使いの方もいらっしゃいます。

では、黒い紙へ赤や黄色などを刷るとどうなるでしょう?
油性インキは原則としてインキの下の色を透過するため、黒の紙の上だと思いも寄らない結果になることがあります。
例えば「基08しゅいろ」を刷った場合。

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黄色い紙の上だと上記のような色になりますが、黒の色上質の上だと「赤」の要素がほとんど消え、黄色っぽい仕上がりになりました。
また、光が当たると色上質特有の照りにより、あたかもメタリックインキのような光沢が出ています。↓

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※黄色っぽいところが「しゅいろ」で刷ったところ、地の紙色はグレーっぽく見えているところです(実物は黒色)。

このような視覚的な効果については熟練オペレーターでも全てを把握している訳ではありません。
「仕上がりがどうなりますか?」というお問合せへのお答えは非常に難しいです。
もし、本の完成前に結果をお知りになりたい場合は校正を承りますのでぜひご相談ください。(別途、校正代と納期が掛かります)

※ちなみに、「基08しゅいろ」と「基04べに」の差はこれくらいです。

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また、「紙の影響を受けずに元の色で刷りたい」という場合には、白を刷った上にご希望のインキを印刷する必要があります。これを“白止め(白押さえ)”と呼びます。
ただ2版を重ねることになるため、印刷に“見当ズレ”が発生する場合があります。
>>“見当ズレ”についてはこちらの記事で!
>>黒い紙に基本36色を印刷した見本画像はこちら
 

(2)写真を黒い紙に色刷り印刷すると…

写真を黒い紙に多色刷りするとどうなるでしょう?
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↑このデータを黒い紙に銀刷りすると…

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う~ん、綺麗に出ないですね…何が問題かお分かりですか?

実はこれ、ネガ・ポジを逆にすると解決できます!

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↑原稿を写真だけネガ・ポジを反転しました。

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実態がはっきりと判別できます!

これも視覚の効果です。よく考えると当たり前のことのようですが、やってみないとなかなか気付きませんよね。

関連リンク

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