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  • 第12回本フェチ大賞 ハイセンス賞「底の知れない男/泥濘なき底から」ひいろ様[虚空]

ハイセンス賞
「底の知れない男/泥濘なき底から」
ひいろ様「虚空」

ブックケース+箔押しシールがおしゃれ!
洗練されたデザインでキャラクターを映し出すハイセンスな一作

仕様
ブックケース 用紙:NSボール 350g/印刷:ホワイト+ニス
加工:空押し、シール(箔押し2種押し)
【表紙】 ①用紙:ブンペル ホワイト 175kg/印刷:2色刷り(イエロー、ブルーブラック)
②用紙:ビオトープGA-FS ミッドナイトブルー 170kg/印刷:1色刷り(シルバー)
【本文】 用紙:モンテシオン 56kg/印刷:スミ刷り
【製本】 無線とじ

Interview

ひいろ様に、今作品の誕生したきっかけや装丁の考え方、発行までのスケジュールをお伺いします!

まずは、今回のご本を作るきっかけを教えてください。

元々箔押し加工が大好きで、何か本を作りたいなとふと考えたときに「箔押しの大きなシールを貼りたい」と思いついたところから始まりました。 シールを貼るならケースがいい、ケースを作るなら2冊組がいい…と連動して本の仕様を考えた後に、既にwebで発表していた今回の作品がこの仕様に合いそうだなと考えて本格的に制作をスタートしました。

使用された加工とその加工を選んだ理由があればおしえてください。

全体的なカラーリングは、2冊組の本編本が主人公の周囲からの視点で明るめの話、書き下ろし本が主に主人公視点で基本的に暗めの話となっており、主人公のイメージカラーである黄色と、対比として暗めの紺色系にしています。黒だと黄色と合わせて「警告」のイメージが強くなりそうだったので黒は極力避けました。

今回の装丁で本・ケース・シール、全てに関係している円の形は、円を人として考え、周囲から見てなんだか底知れない主人公の話を載せている本編本は円の一部のかけら、書き下ろし本はそれ以外のほぼ円形部分を印刷しています。 ケースに入れた円形の空押しについても「底が知れない」をイメージして印刷ではなく、ぱっと見で見えにくい空押しにしています。この空押しは側に貼るシールが綺麗にみえるよう、円が欠けた状態の形で押してもらいました(シールの貼り位置がわかりやすいと同時に、ズレてもわかりやすいですが…)。 箔押しシールが派手なのでケースはあまり綺麗過ぎないグレー系ボール紙と最初から決めていましたが、本来ボール紙のような硬い紙は空押しに不向きらしく、そのあたりを紙含め緑陽社さまに検討していただきました(無事押せてよかった)。

本文用紙は、本にある程度厚みがないとケース封入が難しいとのことで、相談の上モンテシオンを使用しています。気に入っている紙なので使用できて嬉しかったです。紙自体がかなり軽いので本が厚くなっても軽い!

そして箔押しシールについては、コスモテックさまにご協力いただきました。これは緑陽社さまでは出来なかったというわけではなく、私が箔押し加工が好きなこともあって、一度コスモテックさまに発注してみたいと決めていたためです。使用する箔については金、紺(または銀)の組み合わせでいくつか提案していただき、また台紙のシール用紙についても数種類の校正を送っていただき決定しました。

今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?

3月に作ろうと思いつき、4月から緑陽社さまに「秋〜冬頃に頒布する予定で」という前提で相談開始しました。 元々イベント頒布ではなく通販のみの予定だったので明確な締め切りを決めていなかったのですが、途中で主人公の誕生日(9月初旬)に頒布を合わせられる事に気がついたので守らなければならない締め切りが発生しました笑。 全体の仕様確定が6月下旬、ブックケースの入稿は7月中旬、最終的に全ての入稿が終わったのは8月中旬です。 シールについてはある程度のデザインだけ作成しつつ、ブックケースの仕様(紙質や厚み、空押しのサイズなど)が確定してから本格的に調整しました。ちなみに実作業は7月下旬から始めていますが、本を作成するのに動き出したのとほぼ同時(4月)にコスモテックさまにて今回のようなシール作成が可能かどうかを確認しています。 1冊の本に対して2つの会社に協力していただいたので、余計にスケジュール管理は気をつけていました。 また、箔押しシールを自分でケースに手貼りしているため、手元には頒布日より少し早めに届くように手配しています。

今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けて
メッセージをお願いします。

ブックケースを作る場合は本の厚みを冊子本文入稿よりかなり早めに確定してしまう必要があるので、通常の本作りよりスケジュール管理がとにかく大事だと思います。まだそれほど作成した本は多くありませんが、手元で完成品を見た時の感動は過去1でした。正直普通の冊子のみよりかかる制作費用も大きいですが、私はやってよかったと思っています。紙見本や加工見本などと相当睨めっこしながら出来上がった本を見るのは格別です。 緑陽社さまは相談にかなり懇切丁寧に乗っていただけるので、無理かなぁと思った複雑な仕様でもまず聞いてみましょう!

最後にひとことお願いします!

作った話を中身だけではなく使う紙や加工もひっくるめて本にして表現する同人誌は、やはりweb上で見るだけではわからない質感や楽しさがあります。 別に凝った加工ばかりではなく、表紙の紙をいつもよりきらきらの紙にしてみるとか、いつもツヤのあるPPを今回はマットにしてみるとか…本は少し変えるだけでも雰囲気がガラリと変わることがあります。そういうところが装丁の面白さだと思いますし、私はまんまと嵌ってしまい何冊も作ってしまっています。 緑陽社さまにお願いする時は多分またややこしい仕様の本になりそうなので、その際は相談させていただきたいと思います。 今回の受賞は今後もマイペースに本を作っていく力になりました。本当にありがとうございました!

Staff Comment

作品の主人公である『底の知れない男』の”周囲の人から見えている人物像”を2色の箔押しシールで、“他者の目に見えない底”の部分を空押しで表現されたブックケース。 私たちが見ていた輝きは彼の一部分であり、まだまだ自分の知らない彼がたくさんいるのだ、という気持ちを、読者が本の装丁から感じ取ることが出来る、ひいろ様の表現力の深さに脱帽です。 見えている部分と見えていない部分、その2冊を分冊し、ブックケースに収めることで、一人の人物の全体像が見えてくる装丁の仕掛けに並々ならぬセンスを感じます。 作品と装丁が繋がる考え抜かれたデザイン、余分なものを一切そぎ落とし磨かれた、珠玉の一冊です。 一目見て、部屋に飾りたいほどオシャレな一冊ですが、そのデザインが、キャラクターへの深い愛と考察の末に生まれた形なのだと知った時に、読者の心に更に深く刻まれることと思います。

▼ 第12回 受賞作品 ▼


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